ペットのオンライン診療は初診でもできる?薬は?国の指針と、飼い主の利用経験3.4%
ペットのオンライン診療・相談を使ったことがある飼い主は3.4%です(2025年12月の調査)。国の指針では、初診からのオンライン診療は原則「かかりつけの獣医師」が行い、写真や動画だけの診療は認められていません。
通院を怖がる犬や猫と暮らしていて、オンラインで診てもらえないかと考えている飼い主さんへ。農林水産省の指針をもとに、オンライン診療でできること・できないことをまとめました。
本記事の情報源
日本獣医オンライン診療研究会の飼い主調査、農林水産省「愛玩動物におけるオンライン診療の適切な実施に関する指針」とそのQ&A・概要をもとにまとめた記事です。
執筆:ペトログ編集部
目次
ペットのオンライン診療・相談、飼い主の利用経験は3.4%——500人の調査
日本獣医オンライン診療研究会が2026年11月4日、飼い主への調査の結果を発表しました。調査は2025年12月9〜11日、犬・猫を中心に、小動物・鳥・爬虫類を含む全国のペットの飼い主500人を対象にインターネットで行われています。オンライン診療(オンライン相談を含む)を「よく知っている」「何となく知っている」「聞いたことはある」と答えた人は合わせて81.2%でしたが、実際にオンライン診療・相談を使ったことがある人は3.4%(17人)でした。「よく知っている」は6.0%にとどまります。
一方で、今後については「ぜひ利用したい」が10.0%、「獣医師に提案されたら利用したい」が28.2%、「獣医師に提案されたら利用を検討する」が42.0%で、合わせて80.2%が前向きです(うち42.0%は「提案されたら検討する」)。オンライン診療で気になることは、「診断が正確にできるのか」が84.6%でいちばん多く、「ペットを見せるのが難しそう」が58.0%で続きました。
使ったことがある17人の理由で最も多かったのは「ペットが来院を怖がる・ストレスになる」(16人)です。なお、この研究会の所在地は株式会社みるペット内で、調査も同社に委託しています。
出典:日本獣医オンライン診療研究会「ペットのオンライン診療に対する意識調査(飼い主向け)」(2026年11月4日、PR TIMES)
ペットのオンライン診療は解禁された?——2024年12月に国が指針
農林水産省は2024年12月27日、「愛玩動物におけるオンライン診療の適切な実施に関する指針」を出しました。飼い主の利便性や、適切な獣医療に早くつながることを考えると、オンライン診療のニーズは高まるとして、飼い主と獣医師が安心して使えるオンライン診療を広めるための考え方をまとめたものです。指針に「解禁」という言葉はなく、オンライン診療を適切に行うための基本的な考え方が示されています。
指針でいうオンライン診療は、映像と音声を使い、リアルタイムで診察・診断・処方などを行うものです。指針とQ&Aは、チャット、写真、録画した動画などだけによる診療は認められないとしています。調査では、写真・動画を送って診てもらえるサービスを使いたい人が55.2%いましたが、写真や動画だけでは、指針のいうオンライン診療にはなりません。
出典:農林水産省「愛玩動物におけるオンライン診療の適切な実施に関する指針」(指針本体2(1)・3(8)、Q&AQ16)
ペットのオンライン診療は初診でもできる?——原則は「かかりつけの獣医師」
指針は、初診からのオンライン診療は、原則として「かかりつけの獣医師」が行うとしています。かかりつけの獣医師とは、その犬や猫と飼い主がふだんから対面で受診しているなど直接の関係があり、病気の経歴や予防の状況、健康診断の結果などを知っている獣医師のことです。
例外として、かかりつけの獣医師が休日や夜間で対応できず、飼い主から頼まれた場合などは、ほかの獣医師が「診療前相談」で必要な情報をつかみ、オンライン診療ができると判断すれば行えます。その場合も、診療の記録を共有し、すぐ対面の診療につなげられる体制を整えておかなければなりません。
注意したいのは「初診」の意味です。Q&Aでは、いつも通っている病院でも、新しい症状を診てもらう場合や、治った病気・治療が長く途切れた病気をもう一度診てもらう場合は「初診」に含まれるとされています(すでに診断された病気から予想される症状は除きます)。
出典:指針本体(3(1)(2))、Q&A(Q1・Q4・Q6)
オンライン診療で薬はもらえる?——出せない薬と「初診は7日分まで」
オンライン診療でも薬の処方は可能です。ただし、出せない薬が決まっています。
| 薬の種類 | オンライン診療での扱い |
|---|---|
| 劇薬・毒薬、生物学的製剤、麻薬・向精神薬など、特に安全管理が必要な薬 | 初診・再診を問わず、処方できない |
| 要指示医薬品、承認された動物用医薬品等以外の薬、承認された薬の効能外の使い方 | 初診では処方できない |
| そのほかの薬(初診の場合) | 1回7日分まで。よくならなければ対面での診療を促す |
注:農林水産省の指針(3(5)(6))とQ&A(Q9・Q10)、概要による。
要指示医薬品の多くは、体重や健康状態、検査の結果から出してよいかを判断するため、対面の診療を経て処方される必要がある、というのがQ&Aの説明です。初診で出せない薬は、初診をオンラインで受け、2回目以降もオンラインの場合も、初診と同じ扱いにするのが妥当とされます。
犬・猫のオンライン診療を受ける前に、飼い主が知っておきたいこと
指針が獣医師に求めていることは、次のとおりです。
- 飼い主が望む場合に行うもので、獣医師の都合だけで行ってはならない
- 良い点と、起こりうる不利益を事前に説明する(インフォームド・コンセント)
- 急な病気や容体の急変は、直接の対面診療が基本。すぐ行ける診療施設で対面の診療ができる体制を整えておく
- 届け出のある動物病院に所属し、所属先と問い合わせ先を明らかにする
- 通信が不安定で映像が途切れるなど、適切に診療できないときは行わない
まずは、かかりつけの動物病院がオンライン診療をしているかを聞いてみましょう。受けるときは、獣医師が所属する病院と問い合わせ先を確かめておくと安心です。
出典:指針本体(2(5)(7)、3(4)(7)(8))
よくある質問
Q. 写真や動画を送るだけで、オンラインで診てもらえる?
A. 指針のオンライン診療は映像と音声を使ってリアルタイムで行うもので、チャットや写真、録画した動画だけによる診療は認められていません。
Q. 夜間や休日でも、オンライン診療を受けられる?
A. かかりつけの獣医師が休日や夜間で対応できない場合などは、ほかの獣医師が診療前相談をしたうえで、可能と判断すれば初診からオンライン診療を行えます。ただ、急な病気や容体の急変は、直接の対面診療が基本です。
さいごに
ペットのオンライン診療・相談は、聞いたことがある人が多い一方、使ったことがある人はまだ3.4%にとどまります。国の指針で、初診はかかりつけの獣医師が原則、写真や動画だけの診療は不可、出せない薬がある、といった決まりがはっきり示されました。
急な病気や容体の急変は対面が基本。オンライン診療は、かかりつけの獣医師と相談しながら、通院の負担を減らす方法の一つとして使いましょう。
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出典
- 日本獣医オンライン診療研究会「ペットのオンライン診療に対する意識調査(飼い主向け)」(2026年11月4日、PR TIMES)(2026-11-05確認)
- 農林水産省「愛玩動物におけるオンライン診療の適切な実施に関する指針」(令和6年12月27日付け6消安第5557号)、指針本体、概要、Q&A(令和8年3月更新)(2026-11-05確認)
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